はじめに:テキストを暗記しただけでは受からない?

NSCA-CPTの資格取得を目指して勉強中の皆さん、進捗はいかがでしょうか?
分厚い公式テキストと格闘しながら、「重要語句は覚えたし、なんとかなるだろう」と思っているなら、少し危険かもしれません。
なぜなら、NSCA-CPTの本番試験で最も厄介なのは、単語の暗記量を問う問題ではなく、「現場での判断力」を問う応用問題だからです。
暗記よりも「使い方」が問われます
本番でパニックになる「最も適切なもの」の罠
「正解が2つあるように見える問題が多かった」
これは試験を受けた人の多くが口を揃えて言う感想です。

NSCAの試験では、明らかに間違っている選択肢だけでなく、「間違いではないが、ベストではない選択肢」が混ざっています。
問題文には「最も適切なものを選べ」と書かれており、トレーナーとして最も安全で、最も効果的な判断をその場で下さなければなりません。
- 「Aも正しい気がするけど、Bも捨てがたい……」
- 「テキストのあの図表、なんて書いてあったっけ……」
試験会場の独特な緊張感の中で迷い始めると、時間はあっという間に過ぎてしまいます。
「過去問がない」不安を解消するために
残念ながら、NSCAは公式に過去問を公開していません。そのため、どんな形式で出題されるのか分からず、不安なまま当日を迎える人が後を絶ちません。
そこで今回は、実際の受験者の体験談や出題傾向を徹底的に分析し、本番の難易度や「ひっかけ」の癖を再現したオリジナル問題を作成しました。
それでは、深呼吸をして、本番のつもりで解いてみましょう。
第1問 クライアントの安全性と法的責任
パーソナルトレーナーは、新規クライアントである45歳男性(運動経験なし、BMI 29)に対し、運動プログラムを開始しようとしている。事前の健康スクリーニングにおいて、彼は「ときどき胸に痛みを感じる」と回答したが、現在は症状がないと言っている。トレーナーが最初にとるべき行動として、最も適切なものはどれか?
解説
この問題のポイントは「リスク分類」と「トレーナーの職域(法的責任)」です。
なぜBが正解か:
胸の痛み(狭心症の疑い)は、心血管疾患の主要な徴候・症状の一つです。未診断の症状がある場合、トレーナーは運動を開始させる前に必ず医師の許可を求めなければなりません。これを無視して事故が起きた場合、重大な過失(ネグリーチ)を問われます。
- A: 低強度であっても、未診断の胸痛がある場合は運動を開始してはいけません。
- C: 非常に危険です。医学的なクリアランスが出るまで高強度のテストは厳禁です。
- D: PAR-Q+はスクリーニングの「第一歩」ですが、すでに「胸の痛み」という症状が判明している段階では、PAR-Qの結果を待たずとも医師への照会(リファー)が最優先事項です。
第2問 プログラムデザイン(トレーニングの変数)
あるバスケットボール選手(22歳男性)が、ジャンプ力の向上(筋パワーの強化)を目的としてトレーニングを行っている。彼がパワークリーンを行う際の設定として、最も適切な推奨値はどれか?
解説
NSCAのエッセンシャルテキストにある「筋パワー(単発努力)」のガイドラインを正確に覚えているかが問われます。
なぜBが正解か:
筋パワー向上(単発)の推奨ガイドラインは、負荷:1RMの80〜90%、回数:1〜2回(または3〜5回)です。
パワークリーンなどのオリンピックリフティング種目では、フォームが崩れるのを防ぐため、高回数(6回以上)は推奨されません。Bの「80%で3回」はこの範囲内にあり、パワー出力とフォーム維持のバランスが取れた設定です。
- A: 負荷は範囲内ですが、パワー系種目で「6回」は多すぎます。疲労によりテクニックが崩れるリスクがあります。
- C: 負荷が軽すぎ、回数が多すぎます。これは「筋持久力」の設定に近いものです。
- D: 95%は高すぎます。筋力(Strength)向上には良いですが、パワー発揮の速度が低下するため、パワー系種目としては不適切です。
第3問 エクササイズテクニック(動画問題のテキスト化)
クライアントがバーベル・バックスクワットを行っている。しゃがみ込む動作(下降局面)において、クライアントの踵(かかと)が床から浮いてしまうエラーが見られた。この原因として考えられる柔軟性の欠如は、主にどこの筋肉か?

解説
動作分析の頻出問題です。「踵が浮く」という現象が「足関節」の問題であることを瞬時に見抜けるかが鍵です。
なぜCが正解か:
スクワットで深くしゃがむには、足首の「背屈(つま先を上げる動き)」の可動域が必要です。下腿三頭筋(ふくらはぎ)が硬い(短縮している)と、足首が十分に曲がらず、代償動作として踵を浮かせてバランスを取ろうとします。
- A: 大腿四頭筋の硬さは、膝を曲げる際の制限になりますが、踵が浮く直接的な原因ではありません。
- B: ハムストリングスが硬い場合、骨盤が後傾する(背中が丸まる「バットウィンク」)エラーが出やすいですが、踵浮きとは直接関係ありません。
- D: 腸腰筋(股関節屈曲筋)が硬いと、上体が前傾しすぎたり、腰が反りすぎたりするエラーにつながります。
まとめ:間違いは「合格へのヒント」。なぜ?を突き詰めよう

全3問、いかがでしたでしょうか?
もし「全問正解できた!」という方は、かなり順調に学習が進んでいます。自信を持って、その調子で細かい数値の暗記などを進めてください。
一方で、「難しかった」「解説を読んでもピンとこなかった」という方も、決して落ち込む必要はありません。 むしろ、「試験本番で間違えるはずだった問題を、今ここで潰せた」とポジティブに捉えてください。今この瞬間に自分の「弱点」に気づけたことこそが、合格への最大の収穫です。
NSCA-CPT合格の鍵は「丸暗記」からの脱却
今回の問題演習を通じてお伝えしたかったのは、NSCAの試験では「単なる用語の暗記だけでは太刀打ちできない」という現実です。
合格する人と落ちてしまう人の差は、教科書を読んでいる時に、以下の視点を持てているかどうかにあります。
- • 「なぜ」そのフォームが危険なのか?(解剖学的な理由)
- • 「なぜ」その負荷設定にするのか?(生理学的な根拠)
- • 「もし」クライアントが〇〇だったらどうするか?(現場での応用)
この「なぜ(Why)」を突き詰めて理解しておけば、どんなひっかけ問題が出ても、論理的に正解を導き出すことができます。
「独学で限界を感じている」「もっと効率よく点を取りたい」という方は、ぜひ他の記事も参考にしてみてください。
あなたのNSCA-CPT合格を、心から応援しています!
